マレットと一口にいっても色々あるんですが今回作るのはブラジル音楽(特にサンバ)のスルドで使うマレットです。
こういう人たちが持ってる
こんなんです
これが買うと意外と高い。2000〜3000円とか。こんな棒っきれにフカフカが付いてるだけのやつが!
ということで自作しましょう。どうせたいした構造のものじゃないですし。
【作るもの】
【材料】
- ラミン丸棒 Φ24mm L370mm
- ウレタンフォーム 30mm厚
- 綿の布
- タオル
- タコ糸
- ビニールテープ
【工具】
- ノコギリ
- 紙やすり
- カッター
- ハサミ
- 輪ゴム
- 楊枝
- 茶こし
…茶こし?
【切断】
まずは「棒っきれ」を用意します。
今回はラミンの丸棒を使います。ホームセンターで普通に売ってるので入手しやすいはずです。
直径は24mm。普通の手の大きさの方なら難なく握りこめる太さ。一般的な木製の市販品もこのあたりの太さが多い気がします。
長さは370mmにしました。ウレタンの頭をつけて380mmくらいになります。一般的なドラムスティックより短いですが太さもあるので振った時の重量感は結構あります。
自分の体力(握力)ではこのへんの長さがしっくりくるんですが、体力のある大柄な男性で大口径のスルドを叩くのあれば400mm近くでも対応できると思います。連打はキツいけど。逆に握力のない女性とかならば350mmくらいにするのもアリです。
ただ、体力に無理のないレベルで極力重いものを振った方が音量が稼げるのでそのへんは試行錯誤してみてください。自分に合った長さがわからないときはとりあえず長めに作っておいて、実際叩いて様子をみながらグリップ側を5mmずつくらい切り落としていくとかもいいかもしれません。気兼ねなく切り落とせるのも自作ならではの魅力ですな。
【面取り】
設定した長さに切ったら切り口を面取りしておきます。握り込んだとき痛いし、ウレタンを巻きつける方もエッジが立ってると叩き続ける間にウレタンが切れていったりするので面取りしといた方がいいです。
仕上げは最後にやるのでそんなに神経質にならなくてOK。触った時に痛くない程度で大丈夫。
【ウレタンフォームの用意】
棒っきれに巻きつけるフカフカの部分です。巻きこむのはウレタンフォーム。厚みは30mm。これを3枚重ねます。
上から7cm11cm15cmの正方形です。
これをスミを切り落として8角形にしときます。(本当は丸がいいんですが面倒なんで)
ウレタンフォームといっても硬さが色々あるのですが、今回使ったのは椅子の座面に使うウレタンフォームです。反発強めの黄色いやつ。洗車用のスポンジとかもこんなやつですね。
【下布の用意】
ウレタンをくるんで圧縮する布を準備しましょう。今回は圧縮する用の下布と表面の布で二重にします。下布はワイシャツ生地みたいな薄くて伸びない綿の布です。
表面はパイル地(タオル)にしようと思います。市販品でもパイル地が多い印象です。百均のタオルで十分ですがユザワヤとかに行くとストレッチ素材の片面パイル地が売ってるのでオススメです。買いに行くの面倒くさがりましたすいません。
二重構造にせず布一枚で作るのもできるっちゃできるんですが、パイル地でやろうとすると微妙に伸びるんですよねー。せっかくしっかり圧縮しても布が伸びるとふわふわになっちゃうので今回はやりません。
下布はどうせ見えなくなるので柄は問いません。ユザワヤとかで端切れがワゴンセールになってるので適当に選んで下さい。着古したお父さんのワイシャツとかもいいすね。
余裕をもって25cm四方くらいに切っておきます。小さいと引っ張るときにやりづらい。
マレットを複数人で作る場合にはあまり必要ないんですが、1人でやるとウレタンを握って押さえつけながら余ったウレタン切って布引っ張ってタコ糸を巻いてく、ってもう手が2本じゃ足りないんです。だから押さえつける役を茶こしに頑張ってもらいます。
茶こしは底が半球体で深めのやつがいいです。直径58mm深さ50mmのを使ってます。この大きさが出来上がりの頭の大きさに直結します。
ちょうどいい茶こしがない場合は短く切ったパイプなどに押し込むのもアリです。
大きくすると柔らかすぎるし、固くしようとしてウレタン詰め込むと重いし。小さくしようとすると丸くならなかったりとこのサイズに辿り着くまでなかなか大変でした。
【組み立て】
さて。いざ。
下布を敷き、ウレタンをのせて中心を合わせます。中心がズレると丸くならないのでちょっと慎重に。
中心に向かって垂直に棒を押し込みます。
押し込んだら下布をまとめて束ねます。シワが一箇所に固まるといびつになるのでなんとなく分散させて下さい。ここでは神経質にならなくてもざっくり分散できてれば大丈夫。
さあ!万感の想いをこめて!茶こしを押し込みます!
押し込んだら手が離せます。パチパチパチパチ
ウレタンが余って茶こしから飛び出てるとこを切りましょう。ほぼ垂直に切り落として下さい。カッターでゴリゴリやれば切れます。切り屑がいっぱいでるので新聞紙みたいなの敷いとくといいかも。
【美しく締め込むために】
切ったら布を引っ張って輪ゴムで留めます。輪ゴムは楊枝を引っ掛けとくと巻くときも外す時も楽ですよ。
さ。ちょっと細かい作業になります。布に極力細かく均一なギャザーを寄せていきます。
指でちまちまつまんでちょっとずつシワを寄せて下さい。修正しながら2周くらいやってみると寄せ具合がわかると思いますよ。
【締め込み】
ギャザーを寄せ終わったら改めて布を引き、寄せたシワの上からタコ糸を巻きます。親の仇のようにギチギチに巻きましょう。糸が切れそうなくらいギチギチにね。
グリップ側から、布が浮いてる部分を締め込みながら巻き上げるとキッチリ巻けます。
ウレタンの端まで来たらまた巻きながら下りていきます。巻き始めのとこまで来たら結びましょう。
もう茶こしと輪ゴムは外して大丈夫。テープは巻かなくても大丈夫なんですが糸くずが出るので貼っといただけです。
【表布装着】
先ほどの締め込みとほぼ同じ手順です。ウレタンの圧縮は下布がやってくれてるのでさほど引っ張りません。ウレタンの端から2cmくらいの大きさにカットすればOK。
輪ゴムを巻いてギャザーを寄せ、グリップ側からタコ糸を巻きます。
余分な布をカットしておしまい。
【仕上げ】
ビニールテープを巻きます。引っ張りながら巻くとぴっちりしますね。
ビニールテープはカラーバリエーションが多いので表布とコーディネートしてみるのもいいと思います。今回はチームカラーの白黒紺にしました。
グリップエンドも仕上げましょう。面取りした部分を紙ヤスリで丸くします。グリップエンドにかなり近いところを握る方はあんまり半球体に近くなるまでやると滑るので、握って擦ってみて痛くない程度でいいと思います。
【Tips】
・初期マメ防止
使い始めのマレットはマメをつくりやすいんですが、これは木の表面の繊維が細かく毛羽立ってるのが原因です。これは紙ヤスリをかけても解決しません。しばらく使ってると手との摩擦でなくなっちゃうものなので我慢する方も多いでしょうがどうせなら最初から快適に使いたいですよね。
木の繊維と細胞壁の毛羽立ちは同じ木で磨けば綺麗になくなります。グリップ用の木を切った際に出た半端な棒などがあればそれで。なければ同じマレット同士で擦ります。
僕は端材を「磨き棒」としてとっておいてあります。
力を入れすぎると大きく凹んで、かえってマメを誘発するので適度に。押し付ける力より回数擦るイメージで。
写真では見にくいですが擦った跡が少しツヤっぽくなれば毛羽立ちが取れてると考えて大丈夫です。
・滑り防止
びっちょり手汗をかくタイプなのでマレットがよく滑ります。
以前はテーピングを巻いたりテニスラケットのグリップ巻いたりロードバイクのバーテープ巻いたりゴルフクラブのグリップをつけてみたりしたんですが滑らなすぎて逆にマメを作る要因になっちゃって、しょうがないからドラムグローブして叩いたらグローブの縫い目が原因でマメを作ったり「ドラムグローブは逃げ」とdisられたりと血まみれの試行錯誤を繰り返してました。
最終的にグリップにロウを塗る。という方法で落ち着いてます。パンデイロの皮ヘッドの滑り止めにも使うやつですね。仏壇にあるような普通のロウソクで大丈夫なんですがうちに蜜蝋があったのでそれを使いました。
ロウを擦って塗りつけ、さらに乾いた布ですり込みます。ハチミツのいい香りがします(女子力高い)
ロウをすり込むことで汗のや汚れが染み込みにくくなる効果もあります。使ってるうちに徐々にロウが落ちてきちゃうのでたまに同じ作業をしてあげてください。車のワックスみたいなもんですね。
・重量の微調整
マレットを作ってみたけど軽すぎる!とか、長さはいいんだけどもうちょっと振った感が欲しい!というときはマレットヘッドの下あたりにウェイトを少し足しましょう。
テニスラケットにつけるバランスウェイトや鉛のシートを切って巻きつけるだけです。鉛のシートは釣り道具屋で売ってます。
これ10gつけるだけでかなり重さを感じるはずです。振って確かめながら切り貼りしてみてください。
【まとめ】
マレットは自分の意図を楽器に伝えるインターフェースの部分です。体格や体力に合わないものを使うと意図したプレイができないばかりか最悪身体を壊します(腱鞘炎とかね)
試行錯誤をして自分のベストバランスをみつけて、快適なスルドライフをお過ごしください。