スルドは叩きながら歩くことを前提としているため、基本的にストラップで吊っています。
とはいえ、この状態だと1人に1台という制約が生まれます。いや、無理すれば2台くらいは持てるんだけど叩きづらいし腰痛いし。
歩くことを前提としなければフロアタムのレッグを取り付けたタイプのスルドもあります。パゴーヂ等のライブでよく目にするやつですね。
これアルミ胴のスルドなら後付けで加工できるので以前やってみたのですが意外と音が詰まるんですよ。ストラップで吊って叩くために胴が軽量化されているので、恐らくヘッドと逆位相で胴が振動している前提でサスティンが確保されているんでしょうね。ある程度自由振動できる状態にしてやるとサスティンが伸びます。多分初動が軽くて5mmくらい上下するクッションが有ればだいぶ改善できるはず。レッグの下に硬めのウレタンブロックを置けばOK。
まあとりあえずはそのスタンドでいいんですけどひとつ問題がありまして。
このフロアタムのレッグを取り付ける「ラグ」と呼ばれる部品。
こいつが邪魔なんですよ。歩くと脛に当たるし、マトリョーシカみたいに重ねようとすると22インチの中に20インチが入らない。
18"、20"、22"のスルド3台並べて1人で叩きたい。という無茶なことを考えてまして、移動も考えるとマトリョーシカにできないのは致命的です。重ねられないと車移動しかなくなってお酒が飲めないの。
複数台持ち歩けるように楽器側への加工は最小限に、軽量で折り畳めるスタンドで、音が詰まらないようにクッション性があるもの…てなことを悶々と考えていたら僕の大好きなWicked Auraが日本に来た時、スルドの人が良さげなスタンドを使ってるのが見えまして。
ちょっと見えづらいかな。構造としてはレジャー用の3本脚の折り畳み椅子みたいなやつです。調べてみるとちゃんと商品として存在してました。
https://www.knockonwood.co.uk/portable-surdo-stand
これはいいですね。折り畳めば持ち運びも嵩張らないし。
で…これをイギリスから取り寄せるの…?ほぼ棒3本なのに…?
じゃあ…作っちまいましょうか!!!!
とりあえずうちに使えそうなパイプがありました。Φ19mmのガルバリウム鋼管です。ちょっと細い気がするけどなんとかなるっしょ。
これを800mmで切り揃えます。
床を傷付けないため、あと滑り止めのためにゴム脚を被せておきます。
あとはこの部品
これ脚の開く角度にも影響するのでこの製品のキモになる部分なんですけど、とりあえずやってみないことにはノウハウも溜まらないのでやってみましょう。
10mm厚、Φ100mmのゴム板を買ってきました。
均等に配置するため中心から半径25mmのラインに正三角形に穴を開けます。穴径は21mmにしました。
スルっと入ってキュっと止まってくれたらいいな。
パイプを3本通して広げます
お!いいじゃん!見た目はそれっぽい!と思ったけど荷重を掛けるとへちゃっと潰れます。
大失敗!!
確かに、楽器自体は5〜10kgとはいえこの部品に荷重が集中しますからね。それなりに強度が必要なのはわかりました。
あと角度が全然狭い。身長にもよりますがスタンド高さは15〜20cmくらいで収めたいところです。
ということで線径4mm、内径80mmと90mmのステンレス丸リンクを買ってきました。
真ん中に通して広げると
お!かっちり止まった!
内径80mmだと高さ20cm前後、内径90mmだと高さ15cm前後になりました。これもうほぼ完成ですね。荷重をかけても問題なさそうです。
このままでは楽器が滑るので滑り止めを付けます。内径19mmのスポンジゴムを買ってきました。250mm程度に切り揃えて押し込みます。
入れる前にパーツクリーナーをパイプとスポンジの内側に吹いとくとぬるっと入りますよ。自転車のハンドルのグリップを替える時みたいな感じ。パーツクリーナーは揮発性が高いのでしばらく置いとくと乾いて滑らなくなります。可燃性が高いしガソリンみたいな臭いがするので家の中ではやめときましょうね。
4セット作って一つは丸リンクのサイズを内径50mmにして高くし、浅胴用にしました。
実際叩くとこんな感じ
https://twitter.com/san_salvadori2/status/1194690449023197184?s=21
振動でズレたり崩れたりはしませんでした。クッションとパイプ自体のしなりがあるので胴の振動を止めることもなくサスティンは伸びてくれてます。
完成!